Month: October 2024

Asuka Kimura

音楽一家の家庭で育った木村飛鳥は、わずか2歳で演劇キャリアをスタート。子役劇団に入団して以来、2013年の舞台デビュー後は年間10本以上の公演に参加した。「歌と芝居をしたいなら一度はニューヨークへ」という母親からの言葉がきっかけで2019年に渡米を決意した。 渡米後、飛鳥はアル・パチーノやサラ・ジェシカ・パーカーなど数多くの名優を輩出してきた演劇学校「HB Studio」に入学。彼女の英語の発音がとても綺麗であることをメンションすると、演劇界のプロの講師たちに発音を母音、子音に分けてイチから教わったと話す。「語学学校とは違ってアメリカ人しかいない環境で何が何だか分からず落ち込む日もたくさんありましたが、それでも毎日友達の口の形だったり、どうやって発音しているのかをこっそり見て研究しました」 ミュージカル「Xanadu(ザナドゥ)」でアンダースタディ(代役)として、ニューヨークで初めての舞台に立った。「一度だけ舞台に立てる機会があって。涙を堪えながら歌っていたのを今でも思い出します」その後もオーディションサイトや劇場のソーシャルメディアなどで常にオーディション情報をチェックしては応募と参加を繰り返す日々。「受かる、受からないよりも、場数を増やして経験と度胸をとにかくつけようと日々オーディションに臨んでいます」と話す彼女からはミュージカル愛と情熱を感じる。 2023年、晴れて飛鳥はミュージカル「GUYS & DOLLS」でBilly Perry兼Waiter役に抜擢された。「GUYS & DOLLS」は1950年にブロードウェイで初演されロングラン公演を記録したトニー賞受賞作品で、ミュージカル・コメディーの傑作だ。「オーディションに受かった時は本当に嬉しくて。二次審査では何十人もの人の前で1人で歌わなくてはいけなくて、トイレに行くふりをして帰ろうかと思ったくらい緊張しましたが、一緒にオーディションを受けている人や、そして何より審査員の人達が暖かく見守ってくれていたのでのびのびと歌うことができました」 ブルックリンの会場・The Heights Playerで彼女の舞台を鑑賞した。30年代のニューヨークが舞台のこの作品。役者それぞれのレトロな衣装とネオン輝く舞台セットが輝かしい。飛鳥のパフォーマンスは、オーディション時の思い出と重なるように堂々かつのびのびとしていて、終演後にキャスト達と話す時の和気藹々とした表情も印象に残っている。 劇中のアンサンブル(メインのキャラクターの会話中に周りで談笑したり日常的な動きをするキャストの役割)ではどんなことを話しているのかを聞いてみると「今日の夕飯の話とかしています」と笑って話す飛鳥。「キャストのみんなとはすごく仲が良くて、毎日のように一緒にご飯に行っていました。公演期間中は第二の家族のようにいつもそばに寄り添っていてくれる仲間だったので、公演が終わった今でもみんなとても仲良しです」 日本の音楽やエンターテイメントがアメリカで受け入れられつつある昨今、彼女が考える“アメリカでウケる日本文化”について聞いた。「沖縄の文化や音楽、そして食が受け入れられやすいのではないかと思います。アメリカに移住してから、沖縄の文化に触れることって本当にゼロに近くて。沖縄の素晴らしい音楽や食の文化は、日本文化の一部として受けそうな気がします。私自身もニューヨークで沖縄料理が食べられるようになったら毎日でも通いますね!」 今後の展望についてはこう語る。「ミュージカルも勿論ですが、ストレートプレイ(音楽のない劇や芝居)にもっと挑戦したい。役にのめり込むプロセスが本当に楽しくて、毎回いろんな役を演じることにワクワクしています」舞台女優としてだけでなく、シンガーとしても活動する飛鳥のMusicalな人生はこれからも続く。 Profile: Asuka Kimura Asuka Kimura (She/ Her) is a Japanese actor with a background…